〜バリバリ伝説とGSX-R〜
〜バリバリ伝説 第6巻〜
少年マガジン昭和59年第11号より昭和59年第20号まで
好走の比呂と、グンが交代、秀吉もTOPのままハヤミレーシングとほぼ同時にピットイン。
クイックチャージまで持ち込むハヤミレーシングにはピットワークで勝てるわけも無く、首位が入れ替わることに。。。
交代した比呂は転倒の時に、ヒザを打っており、走っているうちに、だんだん痛くなり、医者へ見せることに。。。
グンは、7秒台前半をキープ、耐久レースと分っていないような、ひたすら全開走行
秀吉は自分の完璧な走りと、グンの未完成な甘い走りのタイムにあまり差が無いことに納得がいかない。。。
あのノッポの走りは、まだメチャメチャ甘いところが残っとる……
わいは、かなりムリをして限界近いタイムを出したつもりやった……ということは……
ノッポのタイムは、まだ……縮まる可能性が大きいっちゅうことや!!
トップの高根沢は、絶対に抜かせないと、がっちり、インをブロックした守りの走りとなり、みゆきは、なかなか抜けない。
8秒台前半でラップする二人を3周遅れのグンは、タイヤを滑らし、アウトから強引に抜きさっていく。
このとき、最速の6秒77を出した、グンにピットは、みなあっけにとられる。
グンのやつ、ひょっとして……聖くんより、いいタイムを出すことしかアタマにないんじゃないかなあー
トップがどこにいるかなんて、とうに眼中にないんだよ……
さっき最終コーナーで抜いた2台が……お嬢さんと高根沢だなんてことも……絶対気づいてないんだろうな……
くくっ
グンにまったくついていけない高根沢はオーバースピードでヘアピンで甘くなったところを、みゆきにさされ、どぱにっくに陥る。
みゆきがトップにたって大喜びのIRTのスタッフ……
対称的に高根沢が抜かれたことに「ざまあねえや……全部他人のせいにしやがって……」と、ピットとライダーの信頼関係がなくなってしまったハヤミレーシング……
チーム監督は、その差に、自分たちが起き忘れてきたなにかを思う……
診察を終えた比呂は、骨には以上がないが、ドクターストップに……
このままでは全体の60%以上をグンが走ることになり、グン・比呂組はリタイヤを決めた。
しかし、相変わらず異常とも思えるハイペースでラップを重ねるグン……
遠心力が体をマシンごとアウトへひっこぬこうとしやがるっ!!
もっと小さく!! もっとインへ!! もっと低く!!
切りさかれた大気のカベが、うなりをあげてヘルメットをたたく……背中で渦をまく
次の瞬間、はるか後方へ飛んでく……
これでもかっ!! これでもかっ!! これでもかっ!!
再び、高根沢を抜きさるグンに、進路を譲ってしまう高根沢
この速さの秘密が分らないと、秀吉
秀吉は最後のライダーとして、再びピットアウトしていく
そして、ピットインしてきたグンにはリタイヤが告げられる……
しかたないと諦めつつも、もう一度コースに出ると主張するグン……
レースなんてどうでもいい、レースはリタイヤでもおれはもっと走りたい!!というグンの気持ちにスタッフが応え、グンは再びコースへ。
グンにもっともっと走ってもらいたかったんだよなァ……あいつを見ていると燃えるんだ……
グンにはもっと、特別ななにか……ドラマチックな期待感があって……みんなも同じ気持ちなんだろうな……
あいつから……目がはなせない……
スタッフ達の期待を背負い、さらに秀吉まで、ペースダウン。抜かれないような走りで、グンが追いついてくるのを、待っているのであった。
こい ノッポ!!くるんやっ!! はやく わいに追いついてこいっ!!
おんどれがくるのを待っとるんやっ!! おんどれ以外は……おもろないでっ!!
どこだ……どこだっ!!ヒデヨシ!! どこを走ってやがるっ!!
そして、とうとうグンが追いつく!!
コーナー立ち上がりで、ハヤミレーシングを間にはさみ、2台ともフロントリフト!!ラインを交差させながら、ぶっちぎっていくのであった。
ノッポォ!! 勝負やっ!!
ケッ!!ぶっちぎりっ!!
インをとられ、秀吉に一歩遅れをとるも、さらなるつっこみを見せるグン。
しかし、長時間の過激なドリフト走行に、グリップを失うタイヤ...
タイヤだけでなく、エンジンももたないだろう...しかし、普通はライダーが、こんなにもたないのだけど……と不安と感心が入り混じるピット。
エンジンをオーバーレブさせてでも……無理やりパワーをかせぐっきゃない……
あとはブレ―キングをギリギリまでおくらせて……つっこみで追いつく!!
ピットアウト前に、みゆきから命をすりへらすような運転はしないでと言われていたことを思い出すが、なくならなきゃいいんだ!!と
コースアウトしつつも、ヒザを地面にこすりつけてマシンを起こし、コースインするなど、過激な走りで追い上げる。
レース終了まで、あと15分を残すところで、グンのマシンのエンジンの吹け上がりが急に軽くなる。
古くやった電球の切れる直前のように、エンジンも焼きつく前に急にフケが良くなるのだと、限界と判断した市川はグンにピットインのサインを出す。
グンは、これでタイヤのハンデがなくなったと、勝負をかける。
35Rをヒデヨシより速いスピードで立ち上がって切り返す!!
全開でまわる高速コーナーの左80R!!
アウトからかぶせて 勝負!!
並ぶだけでいい……勝った!!と第2ヘアピンのインをさすグン……
その瞬間、バルブがサージングを起こしぶっとんでしまう……フルバンク状態のグンのマシンは、そのままクラッシュパッドへ……
メインストレートに戻ってこないグンに何かあったのだと、状況のわからないピットでは、不安で沈みかえる……
しかし、グンはタイヤをかかえて、「マシンぶちこわれた……すんません……」と申し訳なさそうに帰ってきた。
あぜんとする一同に、どこからか笑いが……ピットは先ほどの雰囲気とは打って変わって爆笑につつまれる。
そのまま秀吉がゴール。
優勝、一ノ瀬・聖組 イチノセレーシングチーム!!
表彰式が終わり、他のチームに囲まれる中、高根沢も言い訳をしにやってくる
このヘルメットのエンブレムにかけても次は負けない!!と決めたつもりが、鷹のエンブレムをタコと間違われタコ根沢と皆に笑われる。
このままですむと思うなよ……どんな汚い手を使っても……
復讐を誓うタコ根沢であった……
季節は冬になり雪が積もるなか、スズカで使うニューマシンのベースが決まったとの報告があった。
グン「CBRだろ」
比呂「GPZがいいけどな」
秀吉「GSX-Rや あれがいちばんやでえ」
土曜日2時、ガレージ前に集まった3人に、4台の新マシンが並んでいる。
GSX-R イチノセレーシング・スペシャル
子供のような目で、夢中になって、すげえ、すげえや、ちくしょうなんてすごいんだ……と、感動する3人。
GSX-R イチノセR・S仕様
☆最大出力 65PS/12000rpm 4.0kg・m/11000rpm
☆フェアリング 最近はフルカウルが多くなって来てるけど、イチノセスペシャルは作者の好みでハーフカウル。オイルクーラーはカウル正面
☆ブレーキ そのままでもほとんどOK。イチノセスペシャルはパットのみ変更。
☆タイヤ ダンロップのスリック国産ではこれだけ
☆マフラー 当然といえば当然のヨシムラサイクロン ノーマルは× つけかえる、
エンジンチューンもヨシムラパーツを多用。
☆バックステップにクリップオン ハンドル。保安部品はとりはずす
☆タンク、フレーム、Fサスはノーマル
市川「4台ともまったく同じ仕様だ あとはスズカを走りながら各部のセッティングをにつめるだけだ」
「本番に行かないうちにマシンを壊したりしないように」
グン「こわしたりしないよ オレのマシンだ
こいつに乗って 夏のスズカへなぐりこみだいっ!!」