POWER ENDURANCER SUZUKI GSX-R GK71B CLUB

～当時の雑誌から～

走りがその全てであったレーシングテクノロジーの開華
動力性能データ・バンク84ハイパーモト全15機種

～モト・ライダー　1985/2月号 306p-307p より～

SUZUKI GSX-R400 軽量化へのチャレンジ

GSX-Rの誕生は'84・3月。パワーユニットのベースはGSX400FWであったが、アルミ・フレームはもちろんのことエンジンパーツに至るまで、共通パーツはほとんどないといってもいいほどに徹底的な見なおしが行われ、そして軽量化が行われた。
そして、59psのパワーを絞り出したのは、エンジンパーツのひとつひとつに至るフリクションの低減であり軽量化であったわけだ。

　ハーフカウル、デュアルヘッドライト、そして集合マフラーというGSXRのデビューは衝撃でもあった。
しかし、それはスタイリングよりも、その裏に秘められたポテンシャルを容易に想像することが出来たからである。
　そのポテンシャルを語る最も重要なスペック乾燥重量152kgだ。
　これはハイポテンシャルを示すに十分な数値といえよう。
　この軽量化の技術はスズキの最も得意とする所でもあり、アルミフレームを最も早くマスプロダクション化したことでも知ることができる。
　GSXRも当然のようにアルミフレームを採用、これはMR-ALBOX(マルチリブ・アルボックス)と呼ばれる、各部にリブを持たせたアルミ角パイプで構成されており、リブ以外の部分の肉厚を減らすことが出来、剛性と軽量を両立させている。
　フレーム以外にも軽量化への努力はほとんどの部品に見られ、マフラー、ディスクプレート等をのぞけば、鉄で造られたものはガソリンタンクとボルト、ナット類だけだ。
　正にアルミと樹脂の集合体ともいえ、ステップやペダル、レバー等は、アルミ材をさらに肉抜加工するという徹底したものであり、グラム単位の軽量化が行われている。
　走りをバックアップするブレーキは、DECAピストンを採用し、十分な制動力を持つ。
　このDECAとは10を意味し、10個のピストンはフロントの2ポット対抗ピストンキャリパーとリヤの対抗ピストンキャリパーに振り分けられている。
　リヤサスはフルフローターを採用。フロントサスには、これまたスズキの得意とするアンチダイブシステムを装備し、その走りを支える。
　サイクロンマフラーは、スズキのチューナーであるヨシムラのレーシング技術であり、パワーユニットはもちろんヨシムラの技術が盛込まれており、車体全体において、スズキとヨシムラのレーシングテクノロジーそのものといっても過言ではない。
　それは走りそのものに現れており、200km/hをオーバーする実力が全てを語っている。

ベスト・アクセレーション

　同クラスで唯一、アルミフレームを採用し、152kgと超軽量の車体とともにクラス最高のパワーユニットを搭載する。スズキが社運をかけて世に送り出したモトといっても過言ではないだろう。
　ポジションはやや絞り込まれたハンドルと、腰高のシート、高く後退したステップで、慣れるまで多少時間を要するが、慣れるにしたがってコーナリングではライダーにベストなポジションと感じる。かなりアップされたステップにより下半身は少しょう窮屈さを感じさせ、全体的にはややアンバランスと思わせるところがある。
　エンジンはTSCCと呼ばれる2分割方の燃焼室をもち、59psのハイパワーを余裕で出しており、同時に燃費もよいというスズキならではのものだ。高回転型であるのだが、中速域から発生する猛烈なトルクのために、加速フィーリングは400ccクラスでは1番である。そのフィーリングは凄まじいの一言。1速で加速中、身を伏せなければフロントが浮きだす強力さで、トルクで押し出し、そのあとはパワーで引っぱるといったものだ。
　ハンドリングはややトリッキーな性格をもち、慣れるまでは恐怖感さえ感じてしまうほどの運動性を示している。ライダーの僅かの動きに対してもマシンが敏感に反応してしまうデリケートな軽さと、やや切れ込み型の特性のためにそう感じさせてしまうのだ。だが、そのクセを熟知して、それなりの乗り方ををすれば最高のレベルといえるだろう。
　ブレーキの効きは申し分のないものだ。コントローラブルという点においてはやや扱いにくさを感じるが、それにしても制動力はレーサー並のものをもつ。
　マシンの特性に合った走りを方をして、はじめてそのポテンシャルが発揮できるマシンで、国際A級ライダーのテクニックにも十分対応するポテンシャルをもつ。

テスト月号	MR'84･6	MR'84･7	MR'84･8	MR'85･1
最高速(km/h)	196.0	196.0	205.4	---------
0-200(秒)	7.95	---------	8.01	7.94
0-400(秒)	12.53	12.77	12.52	12.52
追越加速(秒) (3速･30->80km/h)	5.1	---------	---------	5.04
追越加速(秒) (5速･50->100km/h)	7.5	---------	---------	---------
筑波ラップ	---------	1分10秒77	1分11秒44	---------

●スズキGSX-R400主要諸元
■寸法mm重量kg : 全長2090 全幅710 全高1185 軸距1425 最低地上高135 シート高780 乾燥車重152
■エンジン : 水冷4サイクルDOHC16バルブ並列4気筒ボア x ストローク53x45.2mm 排気量399cc 圧縮比11.3 最高出力59PS/11000rpm 最大トルク4.0kg-m/9000rpm 気化器AS27VW 潤滑方式ウェットサンプ始動方式セル点火方式トランジスタ
■ミッション : 6段リターン変速比1速3.166 2速2.125 3速1.631 4速1.333 5速1.173 6速1.083 一次減速比2.212 二次減速比3.066
■車体関係 : アルミ角パイプダブルクレードル・フレーム　サスペンション Fテレスコピック Rフルフローター　ブレーキ Fダブルディスク RディスクタイヤサイズF 110/90-16 54H R110/90-18 61H キャスター 27°25′トレール96mm 燃料タンク容量18l オイルタンク容量3l 発売'84年3月1日価格62万9000円

～当時の雑誌から～

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